悪魔のようなアナタ【完】
翌日。
「……っ……」
灯里は再び自席で頭を抱え込んでいた。
一晩考えてみたが、やはりどうしてもわからない。
頭の中は混乱し思考回路が停滞しかかっている。
――――こうなれば、悪魔に魂を売るしかない。
灯里は決心し、昼休みに3Fへと向かった。
キャビネットのところで会計の分厚い本をめくっていた玲士に、意を決して話しかける。
「水澤くん」
玲士は一瞬驚いたようだったが、すぐにいつもの氷の目線に戻った。
「下界のミジンコがおれに何か用?」
「……っ」
踵を返そうとした足を必死で留め、灯里は頭二つ分高いところにある端整な顔を見上げた。
相変わらずの氷のような視線だがここで引くわけにはいかない。
負けてなるものかと灯里はぐっと拳を握りしめた。