悪魔のようなアナタ【完】



翌日。


「……っ……」


灯里は再び自席で頭を抱え込んでいた。

一晩考えてみたが、やはりどうしてもわからない。

頭の中は混乱し思考回路が停滞しかかっている。


――――こうなれば、悪魔に魂を売るしかない。


灯里は決心し、昼休みに3Fへと向かった。

キャビネットのところで会計の分厚い本をめくっていた玲士に、意を決して話しかける。


「水澤くん」


玲士は一瞬驚いたようだったが、すぐにいつもの氷の目線に戻った。


「下界のミジンコがおれに何か用?」

「……っ」


踵を返そうとした足を必死で留め、灯里は頭二つ分高いところにある端整な顔を見上げた。

相変わらずの氷のような視線だがここで引くわけにはいかない。

負けてなるものかと灯里はぐっと拳を握りしめた。


< 54 / 350 >

この作品をシェア

pagetop