永遠の愛
何度見ても飽きないその香恋ちゃんを目で追うと、その香恋ちゃんの足は私を通りこして翔の真ん前でピタっと止まる。
そして香恋ちゃんは両腕を高く高く上げた。
「抱っこか?」
しゃがみ込んでそう言った翔に、香恋ちゃんはニコっと微笑んで翔の頬に自分の頬をくっつける。
「はいはい」
「きゃははっ、」
そう言った翔が抱っこをすると、視界が広くなったのか香恋ちゃんが可愛い声をあげた。
「…あれ?翔がパパだっけ?」
その光景を見た私は首を傾げながらそう問い掛ける。
「なんか、香恋。芹沢さんをパパだと勘違いしてるっぽい…」
困った表情で葵は苦笑いをする。
「えっ、…ってかそんな事ってあるの?」
「うーん…そりゃ諒也をパパだって分かってるけど、でも何でか芹沢さんのほうが懐くの」
「えー…そうなんだ。諒ちゃん、怖い顔してるもんねぇ…パパだと思いたくないよね」
そう言いながら翔に抱かれて未だ笑う香恋ちゃんを見る私に、
「ちょっと美咲っ、」
葵の高鳴った声に視線をもう一度送った。
「うそうそ。それより諒ちゃんは?」
「仕事だよ」
「へー…真面目にやってんだ」
「うん、頑張ってくれてる」
「なんか想像つかないけどね」
「昔とはね…」
そう言った葵と目を合わせて私たちは笑った。