永遠の愛

「えっ!!何でっ!?」


当たり前にビックリするあたしは思わず身体を起す。

中から取り出したのは、やっぱりママの通帳。


「何か引き出せって」

「は?」

「だからその通帳に入ってる金、全部引き出せって」

「え?何で?」

「さぁ…。なんか夜は美咲が居ないから俺に頼んだみたいだけど」

「だから引きだしてどーすんの?」

「おいといてって…」

「は?ますます分かんない。また戻ってきて、あたし何の為に渡しに行ったのか分かんないじゃん」

「つか俺もよくわかんねぇんだよ。でも早くしてって言ってた」


そう言った翔は顔を顰めてあたしが持っている通帳をジッと見つめた。

パラパラと開いていく通帳には所々、鉛筆で線が引かれてる。


何の意味で引かれたのかも全く分かんなくて首を傾げるばかり。

その日なんて結局は婦人科に行った事すら忘れてて、頭の中は寝るまでママの事で彷徨ってた。


その意味が分からない事を聞きに行こうと、次の日は病院へ向かった。

だけど、ママは“保管してて”“また言うから”と訳の分からない事ばかりを言っていた。

だからその理由がしりたくて毎日の様に病院へ向かった。


日も刻々と過ぎ、その所為でママの体調はイマイチに優れず、話しすら困難になっていく一方で、理由を聞くどころかママの身体の方が余計に気になって心がムシャクシャしてた。




だけど、その通帳の意味を知ったのは11月の初め。

肌寒い季節を迎えた頃だった――…



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