永遠の愛

結局その日は帰ってからも頭が冴えなくて、天野さんの事ばかりが頭に沁みついていた。

一条くんから聞いた元気がないって事が気になって気になってして、携帯を握っては眺めてって事を何度も繰り返してた。


だけど、こんなに悩んでたら眠気さえも襲って来ないって分かったあたしは携帯を握りしめて天野さんにコールをする。


時刻は23時20分。


出るかどうかなんて分かんないけど、携帯を耳に押しあてたまま、あたしはベランダへと出る。


何度かコールが鳴り響いた時、その呼び出し音がプツリと切れる。

だけど、何の返事もなく、


「…天野さん?」


あたしは小さく問い掛けた。

だけど返事すらなくて再度、あたしは口を開く。


「…天野さん?聞いてる?」

「……」

「あたし…新山です」

「…聞こえてますよ」


少し間をおいて聞こえたのは暗い天野さんの声。

ホッとした安堵のため息がもの凄く自分の耳に伝わった。


「良かった。天野さん、まだ体調悪いの?学校来ないから――…」

「センセ?」


急に遮った天野さんの声に、あたしの口は一瞬にして閉じる。

電話の向こうからはザワザワとした物音が聞こえ、天野さんの小さな声ははっきし言って聞き取りにくい。


「うん?何?って言うか、今どこ?」

「…学校…面倒くさくなっちゃった」


悲しそうにそう言った天野さんの声とともに電話口からやる気のないため息が聞こえた。

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