永遠の愛
「何これ…」


不意に聞こえた葵の声。

そっと視線を向けて見える先には、クシャクシャになった名刺をジッと見つめる葵の姿。


「あー…」


思わず言葉を濁す私に、葵はスッと視線を向けた。


「誰、これ?クシャクシャにしてまた置いてるって事は大切な人?」


葵はクシャクシャになってる名刺を手の平で何度も皺を伸ばす。


「それ、…父親」


隠してても仕方のない事。

だから食べ終わった皿を持って立ち上がった私は小さく呟いた。


「え?お父さん?…美咲の?」

「そう…みたい。一応」


流しに置いた私はフーッと息を吐き捨て葵の隣に足を進めた。


「来たの?」

「ママが亡くなった後にね」

「何て?」

「大丈夫かって…一緒に住まないかって。ってか冗談じゃないよね、今更なんだって話し。子供扱いしちゃってさ、馬鹿みたい」

「でも…美咲の事覚えてたんだね」


ポツリと呟かれたその言葉。

思わず私の口が閉じてしまった。


やっぱ誰も同じことを言う。

そんな覚えてた事が凄いの?


私と皆の感覚はやっぱ違う。
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