永遠の愛
「だって帰る気ないんでしょ?じゃなかったら、あんな所に居ないでしょ」
「……」
「別に気にする事ないよ。って言うか、食べなよ」
ウーロン茶をひと口飲んだ天野さんはそっと手を箸に伸ばす。
「いただきます」
「どうぞ」
微笑んだ私に天野さんは遠慮気味に箸を動かした。
「うわっ、リオちゃん!」
不意に聞こえた高鳴った声。
その声に天野さんは勢いよく顔を上げ、少し苦笑いをする。
そんな天野さんを見てから視線を後ろに向けると、薄らと記憶に残ってる人達の顔ぶれが並んだ。
「すげぇ珍しい光景」
そう言ったのはついさっきまで顔を合わせてた一条くん。
クスクス笑いながら隣の席に座った一条くんに、
「えっ、何でココな訳?」
天野さんの嫌そうな声が届いた。
「何でって、空いてんじゃん」
天野さんの言葉なんか関係ないって感じで一条くんはメニューを見始めた。
「あー…前に会ったセンセーっすよね?」
一条くんと居る3人の内、一人が私の顔を覗き込みながらそう声を掛ける。
一度、繁華街で見た事のある3人。
「ですね、一応」
「ハハっ!何すか、その一応って」
「みえないから」
「まぁ、みえねぇけど」
声に出して笑う彼に同じく私も苦笑いをする。