永遠の愛
「ママ、静かにして」


香恋ちゃんは人差し指を立てて唇にそっと触れる。

そんな香恋ちゃんを見て、「そうだねー…」私はもう一度、香恋ちゃんの頭をそっと撫でた。


「え…、だ、だって、どう言う事?」


葵は戸惑う表情を浮かべ、目を泳がす。


「そう言う事」

「そう言うって、それ芹沢さんが言ったの?」

「ううん。元カノって人がね」


香恋ちゃんは食べ終わった後、私の膝の上にちょこんと座って、絵本を開く。


「みぃちゃん、一緒に見よ」

「うん」

「ねぇ、元カノって、その人がホントにそう言ったの?」


香恋ちゃんと一緒に絵本を見ていると、葵が戸惑ったように私を見つめた。


「うん、言ったよ」

「で、美咲は何て?」

「いいんじゃないんですかー…って言った」

「え?何それ…」

「だって、私には関係ないし。もう、どうでもいいの。もう、面倒くさいの」


多分、きっと。

これが初めて葵に吐いた私からの弱音。


恋愛に対する弱音。


慣れてないから、そう言うの。

だから考えるのも面倒。
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