永遠の愛

「もともと前の先生が居なくなった代わりだし…」

「それって、あっちに行くって事でしょ?」

「うん…」

「美咲、ホントに行くの?」

「行く。諒ちゃんにもそう言ったよ」

「あ…、ごめん。つい話しちゃって…」


葵は申し訳なさそうに目尻を下げ、悲しそうな表情を浮かべた。


「いいよ。どうせバレるんだし」

「いつ、行くの?」

「4月――…」


そこからはどうしても口に開くことが出来なかった。

出発日が翔の誕生日の日なんて、私の口から言えなかった。


「後、2カ月か…。向こうで何年とか決めてるの?」

「決めてないよ」

「美咲は…それでホントに言いわけ?」

「いいか悪いかなんて分かんない。もう、決めたから後には引けないよ」

「…芹沢さん。…芹沢さんには言ったの?」


ジッと見つめてくる葵から視線を逸らす。

隣で少しづつシュークリームを食べている香恋ちゃんの頭をそっと撫でた。


「もう関係ないから言わないよ」

「関係ないって…」

「翔、元カノと寄り戻すんだって」

「えぇっ!?」


あまりの葵の大きな声で一瞬、香恋ちゃんの身体がビクンとする。

その香恋ちゃんは目を大きくして葵を見た。
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