永遠の愛

寂しさの末


いつもとは違った昼間の光景。

ザワザワと騒ぎ合う中、それぞれに卒業証書を手にしてた。


全日制も含め、沢山の人達が旅立っていく日。


…卒業式。


そんな光景をみて、懐かしいと言う言葉が頭を過る。


「…センセっ、」


不意に聞こえた声に振り返ると、そこには笑顔の天野さんがあたしに駆け寄る。


「おめでとう」

「ありがとう」


返すあたしの言葉に天野さんは口角を上げる。


「短い間だったけど、楽しかったよ」

「あたしもです。今、ここに居るのもセンセーのお陰だから」

「そうかな?多分、あたしじゃなくて一条くんだと思うけど?」

「あー…そうなのかな?でも、センセーが居たから頑張れたよ?色々と迷惑掛けちゃったし、ごめんなさい」

「それは…あたしのセリフでもあるから。ありがとう、天野さん。あっちに行っても頑張ってね」

「はい」


そう言った天野さんの瞳が次第に涙ぐんでた。

だけど、それはあたしも同じだった。


天野さんは今にも涙が出そうな瞳。

その一滴の滴が頬を伝った時、一瞬にしてあたしの身体が揺れた。








< 509 / 625 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop