永遠の愛
「なんでここ？」


着いて即効翔に口を開く。


「ご飯食べっから」

「ご飯なら近くでいいのに」

「それじゃあ意味がねぇだろ」


そう言った翔は車から降りると、まだ助手席に居る私を不思議そうに覗き込む。

その視線に気づいた私は車から降りると、懐かしいこの景色に笑みが漏れた。


「相変わらず綺麗な風景だね。あの頃と変わってない」


高い丘から見渡せる街並み。

そこにある一軒の店の周りには春を彩らせるピンクのライトアップ。


ゴージャスな庭の花壇には可愛い綺麗な花がいっぱい咲き誇ってた。


「覚えてた？」


先行く翔は振り返って足を止め、柔らかく口角を上げる。


「忘れるわけないよ」

「そっか」

「…なんか怖い。どうして？」

「は？怖いって何が？」

「そう、優しくされると怖い。別れ話…とか？」


どうしてココなのかも、どうしてこんな所で食事なんだかも分からない。

冗談交じりでそう言った私に、翔は呆れ気味に息を吐き出す。


「別れ話って、…まさか。つか、俺は美咲に優しくされると怖いから」

「何それ」

「そのまんま」


フッと笑った翔は、止めていた足を動かして店へと向かっていく。

その後を追う様に私はゆっくりと足を進めた。
< 613 / 625 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop