永遠の愛

「疲れた…」


教室を出た瞬間、思わず零れ落ちる言葉。

こんなに疲れるものだったなんて思いもしなかった。


定時ってだけにあって夜だから、いまいち身体もまだ慣れてない。

丁度、休憩時間であろう時間。


全日制で言うと昼休みの時間帯。

職員室に一度戻ったあたしは、乾ききった喉を潤そうと財布を手にし、食堂の隣にある自動販売機に立ち寄った。


ガタンと落ちてくる珈琲。

その珈琲を手にして校舎の中に入ろうとした時だった。


「…美咲ちゃん」


不意に聞こえた声に、あたしは視線を向ける。

そう言ったのは茶髪のピアスのあの彼。

要するにチャラ男。


その男はタバコを咥えたまま口角を上げた。


「…一条 奏斗(いちじょう かなと)くん?」

「あれ、すげぇーね。早覚えてんだ、名前」


一条くんはフッと笑って煙を吐きだした。


「まぁね。あんなに興味なさげに授業聞かれちゃ名前くらい覚えるけど」

「ハハッ、そっか」

「やる気ないでしょ?」

「やる気はある。ただやろうと言う気になれないだけ」

「それ、やる気ないって言うんだけど」


そう言ったあたしに一条くんはまた笑った。

< 77 / 625 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop