永遠の愛
「疲れた…」
教室を出た瞬間、思わず零れ落ちる言葉。
こんなに疲れるものだったなんて思いもしなかった。
定時ってだけにあって夜だから、いまいち身体もまだ慣れてない。
丁度、休憩時間であろう時間。
全日制で言うと昼休みの時間帯。
職員室に一度戻ったあたしは、乾ききった喉を潤そうと財布を手にし、食堂の隣にある自動販売機に立ち寄った。
ガタンと落ちてくる珈琲。
その珈琲を手にして校舎の中に入ろうとした時だった。
「…美咲ちゃん」
不意に聞こえた声に、あたしは視線を向ける。
そう言ったのは茶髪のピアスのあの彼。
要するにチャラ男。
その男はタバコを咥えたまま口角を上げた。
「…一条 奏斗(いちじょう かなと)くん?」
「あれ、すげぇーね。早覚えてんだ、名前」
一条くんはフッと笑って煙を吐きだした。
「まぁね。あんなに興味なさげに授業聞かれちゃ名前くらい覚えるけど」
「ハハッ、そっか」
「やる気ないでしょ?」
「やる気はある。ただやろうと言う気になれないだけ」
「それ、やる気ないって言うんだけど」
そう言ったあたしに一条くんはまた笑った。