彼観察日記
「キャーッ!可愛いー!!」


やんわり断ったのだが、少しだけ、と結局連れて来られた。(半強制)



しかしかなりの豪邸だ。
白で統一された壁に、赤いカーペットがしいてある。


高そうな壺や、見慣れない絵画までおいてあった。
あ、これ知ってるモナリザだ。




この女の子はお嬢様なのだろうか?
にしてはメイドとか執事とか見当たらなかったけれど・・・。




そして現在。
私はこの女の子の部屋で着せ替え人形の如く、次々とロリータなフリルのついたドレスを着せられていた。

正直恥ずかしいぞおい。


今はだれも(女の子を除いて)いないからいいけど、誰かに見られたら死んでしまう。


「あ・・・あの、名前、聞いてなかったんだけど・・・」



女の子はドレスを選ぶ手を止め、こっちに視線を送った後、またドレスの方に視線をもどした。


「絢香だよ。あやでいいからね♪」


「あやね。分かった。」



ふと時計を見ると、午後6時を回っていた。
そろそろ帰らないと。


「もう遅いから私帰━━」


「絢香ー。俺の数学の教科書しらね?」



帰るね。と言おうとしたとき、ガチャッとドアノブを回す音と、男の声が聞こえた。
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