嘘つきヴァンパイア様


***


「…さて、種は巻いた。あとは、花が咲くのを待つだけだ」


あの場を去ったあと、ギルドは密かに抱き合う呉羽達を見つめていた。


この屋敷にきたのは、涼子にカトレアの生まれ変わりだとわざと言うためだった。



それをつげ、動揺させ、揺さぶるの目的。


うまいこと会えたのは運が良かった。そう、ギルドは思い、その場から歩き出す。



しかし、呉羽はやはり涼子にはなにも言っていないのだと、確認できた。


ギルドに渡したくないのと、自分が利用するためとはいえ、少々可哀想だな。そう彼は思った。


だが、「おもしろくなりそうだ」と、ギルドは思い屋敷をあとにした。



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