嘘つきヴァンパイア様


「雷、怖かった、か?」


ふと、頭上から呉羽の声が涼子の耳を掠めた。


その声は、先程とは違い、とても優しい声。



「……うん、けど、今は怖くない。呉羽がいるから…大丈夫」


「そうか、遅くなって悪かった。ごめんな」


頭を撫でられ、涼子は目を閉じる。そして、また、見えた。



『お前は、本当に雷が嫌いだな』

『うん……ごめんな、さい』


抱き合っている2人。男は優しく女を抱き締め、頭を撫でている。

『謝ることは、ない。こうしていれば、ずっと触れられるじゃないか』


(…また、だ。これも、私の記憶だろう)




その記憶に酔わされるように、長い間、呉羽の温もりを感じていた。


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