嘘つきヴァンパイア様


(もしかして、これってカトレア様の記憶?そんなことないよね。だって、呉羽はさっき否定してくれた。大丈夫なんだ。呉羽は私に嘘なんかつかない。大丈夫なはず、なのに…)


夢のなか、顔が見えない二人の背中に涼子は確認したかった。


呉羽を信じるために。夢のなか、やけにリアルに生唾を飲み込みながら涼子は口を開いた。


「あなた達は……だれ、なの?もしかして、カトレア様……と、ケイト様?」


涼子の言葉がその空間に広がった瞬間、男に抱かれていた女が振り返りニコリと微笑んだ。


とても整った顔。絶世の美女とはまさに彼女のことと言ってもいいくらい綺麗な女性。


そして、問いは確信にかわった。彼女の姿をはっきりとみた瞬間、本能的に彼女はカトレアなのだと理解する。




「やっぱり、カトレア様だったんですね。もしかして、いままで見ていた映像って…カトレア様の思いでなんですか?あれは、私の記憶じゃない。あなたの……もの、ですか?」



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