嘘つきヴァンパイア様

それでも私は


***



「早く入れ。今日からここがお前の居場所だ」

その後、涼子は呉羽に連れられ、裏門から入り地下に来た。


空気はとてもひんやりとしていて、ランプはひとつもない。唯一の光と言えば、小さな穴から差し込む月明かりだけ。


硬くざらざらした石の牢屋には鉄のような柵があり、頑丈な錠がある。

今まで与えられていた部屋とは雲泥の差だ。


(ここが、私の部屋だっていうの?)


禍々しい牢屋に呉羽は涼子を押し込むと、自らも牢屋に入り戸惑う視線を浮かべる涼子の手首を掴む。


「これは、万が一のためだ。逃げさせるとは思ってないが、こうしないと安心できないからな」

ガチャガチャと何かを掠れさせる音を響かせながら呉羽は涼子の手首に何かをつけた。

手首に鈍い重みが加わり、涼子が恐る恐る腕をみれば手枷がはめ込まれている。


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