嘘つきヴァンパイア様

そんな事を考えていると、部屋のドアがあいた。振り返らなくてもその者が誰かなど、呉羽にはすぐに分かる。

「…なんだよ、ルカ」

「いや。様子を見にきただけだよ」

「…あっそ…」

呉羽に近寄り、ルカはその胸に抱く涼子の姿を見つめ、ほっと息を撫で下ろす。

「落ち着いた顔だな。レシィから聞いた話だと、見ていられないくらい苦しんでいるって言っていたのに」

「……」

「ずいぶんと…安心した顔だ」

「…あぁ」

ルカの問いかけに、軽く返事をすると、そのままルカも呉羽と同じように月を眺めた。


「…で、これからどうする?そんな風に大事に抱いていたら…出来なくなるだろ」

「…そう…だな」

意外な返答だったのだろう。ルカは振り返り、呉羽を見つめた。


「やっぱり、やめようって…考えていた。このまま…涼子となら、生きていけるかもって、考えていた」

「……」

「だが、考えれば考えるほど…それは、出来ないって、考えた。そう考えると…こんな俺でも「好き」って言ってくれた言葉を思いだして、また、考える。その繰り返しだよ」

「…くれは…」

「決心したはずだったのに、こんな小さな…たかだ、カトレアの生まれ変わりでしかない…人間の女の言葉に…惑わされている」

そう言うと、呉羽は涼子を見つめた。その、頬に軽くふれ、そのまま僅かに微笑む。

「本気になんて、なるつもりはなかったさ。利用するつもりだったんだ」


「…あぁ」

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