政略結婚 ~全ては彼の策略~
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1週間が終わる金曜日、約束通り悟と会うことになっていた。
悟から木曜日に連絡があり、金曜日の仕事が早く終わりそうだから帰り一緒に夕食を食べようと誘われていたのだ。
優香は金曜日の朝からそわそわして落ち着かなかったため咲希から「今日デートでしょ?」とからかわれたくらいである。
定時になる頃に、悟から"もう少しかかりそうだから待っていて欲しい"と連絡があったため優香は先に進めておいた方が良い仕事をしながら時間を潰していた。
ドキドキしながら仕事をしているためか、キーボードを打つ指が震える。
こんなにドキドキしていては振り出しに戻ったのと変わらない。
落ち着かなくてはと温かいお茶を入れ直して席に戻って一息ついていると、電話がきた。
悟からだ。
先程までとは比べ物にならない程ドキドキしている。
指の感覚など消えてしまいそうだ。
慌ててデスクから離れて休憩スペースに向かいながら通話ボタンを押して耳にあてると、1週間ぶりの落ち着いた低音の声が聞こえる。
「…優香?待たせてごめん。もうすぐ帰れそうなんだが、今どこにいる?」
「まだ会社に残ってました。私も帰れるので準備しますね。」
「…大丈夫か?仕事まだ残ってる?」
「…大丈夫です!来週する仕事を先に進めてただけなので!」
「…そうか。じゃあ、10分後くらいに迎えに行くからバス停のあたりで待っていてくれ。」
「……はい。」
優香は自分のデスクを片付けた後、化粧が崩れていないか確認してから待ち合わせ場所へと向かった。