政略結婚 ~全ては彼の策略~
「初めて見る顔だと思っていました。副社長の娘の優香と申します。今後とも宜しくお願い致します。」
年甲斐もなく胸がドキドキとうるさい。
「こちらこそ宜しくお願いします。お若いのにきちんとされていて凄いですね。」
「本当ですか?神崎さんのような方に褒めていただけるなんて嬉しいです。」
優香は褒められたのが恥ずかしかったのか少し頬を染めながらもにこりと微笑んでいる。
「神崎、この子が娘の優香だ。今年大学生になったばかりだが、ゆくゆくはウチの会社に入社してもらう予定だからその時は宜しく頼むよ。」
「……まだまだ先の話なんだからやめてよ。」
彼女は父親の言葉を止めようとしていたが、後々入社する事は確実だろうと確信する。
「優香さん、とお呼びしても宜しいですか?」
社長の娘への溺愛ぶりは、社員全員が知っている。
"娘を会社へ入社させ、将来自分の跡を継ぐに相応しい男と結婚させる。"
それが飲み会やパーティで程よく酔っ払った時の社長の口癖だった。
——その娘が彼女。
それならば俺にも確実にチャンスはある。
彼女を手に入れたい。
その一心で、仕事に打ち込む悟にもともと気に入って可愛がっていた社長が声を掛けるのは必然であった。