政略結婚 ~全ては彼の策略~
長いキスが終わると、悟に見つめられた。
頭を撫でられながら軽く額にキスをされ、優しく抱きしめられる。
それはいつもと同じ終わりを告げるキスだった。
優香も悟を見上げて見つめ返すが、その先を求める言葉を伝えていいのか分からず躊躇ってしまう。
——やっぱり言えない……
優香は"しゅん…"としながらも悟の温かい体温に包まれると眠気と疲労に耐えられず意識が遠のいていった。
あと数日後から5月初旬の長期連休が始まる。
悟から旅行に行こうと言われ1泊2日で温泉に行くことになっており、初めての悟との旅行に優香は楽しみで仕方ない。
旅行を純粋に楽しみたいという気持ちに嘘はない。
しかし、旅行でも関係がこのまま進展しなかったらどうしよう…という不安もあった。
悟がどう思っているのかは優香には全く分からない。
経験のない優香には、悟が優香に欲情して反応してくれているのかも正直なところ分からないのだ。
触るのも躊躇われるし、悟がそれを優香に押し付けてくることもない。
自分だけが乱されて、翻弄されている。
悟に触られて嬉しい気持ちにどうしても抗うことは出来なかった。
優香も悟に触りたくて肌に触れることはあっても上半身までが限界だ。
その先は、優香には触る権利がないような気がして勇気が出ない。
もし触って拒絶されたらどうしようという気持ちもあった。
優香は自分があれだけ好き勝手に執拗な程触られていることに関して、悟の気持ちに辿り着けないでいた。
どれだけ悟が我慢していて、悟に翻弄されている優香にどれだけ甘い視線を注いでいるのかも。
優香には経験がないため、その行為の数々にどれだけ愛情を注がれているのか比べる対象もいない。
眠りについた優香をきつく抱きしめ直すと悟も眠りについたのだった。