黒水晶

自分の体から放たれる熱風を弱め、グレンは言った。

「本当は強引に血を吸わせてもらうつもりでここに現れたんだけど、やっぱりやめとくよ」

「私の血が目当てだったの!?」

マイは身震いし、旅の途中で襲われかけた時のことを思い出した。

“そういえば、イサと探索したあの街で、人間に化けた魔物に血を欲しがられたことがあった……!”


「私の…魔女の血って、そんなに狙われやすいものなの?」

「魔女のくせに、無知すぎるよー?

そんなんでよく、今まで無傷でいられたなー。

危ねーよ、それ」

マイは眉を下げ、

「いいから教えてよ」

「魔女の血は、自然の守り神の力を強化·回復する力があるんだぜ。

ま、普段はそんなことしなくても元気なんだけど、今、世界がおかしくなってるからねー。

そのせいで、俺らの命はヤバいってわけ。

今までそんなこと一度もなかったのになー。わけわかんねーよ。

だから、魔女の血を奪うっつー最終手段に出たまでだ。

魔女の血は、あらゆる術師や魔物、俺達神の力までもを回復し、それを長期間保つ効果があるんだ。

ちなみに、魔女の骨も何かに使えるって聞いたことあるけど、それには興味なかったし、詳しくは記憶してねーや」

「そうなんだ……。

グレンも今、あの時のアルフレドみたいに、苦しいんだね……」

マイは心が痛んだ。

水の守り神·アルフレドの、苦しそうだった様子を思い出してしまう。


「ま、俺は命の危機感じてても、フラフラにはならねーけどなっ。

普段から筋トレしてるおかげー??」

グレンは筋肉を強調するように腕を真上に突き上げ、明るくおちゃらけてみせる。

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