黒水晶

「た、助けて……。

こわいよ、お父さん、お母さん……!!」

皆が眠りに入った寝静かな夜、マイは悲鳴に似た寝言をもらしていた。

その寝言に気がついたのは、イサだけ。


最近は危険な出来事も少なかったので、夜の護衛は、エーテルとイサで1日交代で行われており、今夜はたまたま、エーテルが睡眠を取る番だった。

超常的な力を使える魔術師と剣術師も、その器は普通の人間と何ら変わらない。

一般市民よりは長く起きていることができるが、最低限の睡眠は必要だった。


「マイ、どうした?

どこか、痛むか?」

イサは心配して、うなるマイに声をかける。

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