黒水晶

イサはマイを強く見据え、言った。

「マイの両親は、決してマイを捨てたわけじゃない。

あの丘に匿(かくま)ったんだ」

「匿った?? あの家に?」

マイは意外そうに目を見開く。

イサの話すことに、いまいちピンとこない感じだ。

「そうだ。匿われてたんだよ、マイは。

マイの住んでいた丘の家には、エーテルの魔術がほどこされていた。

その理由は、マイがもつ魔法の能力を、外部に知られないようにするため」

「なんで、わざわざそんなことを?

イサ、最初に言ってたよね、私が今まで無傷でいられたのが不思議だって……。

私があの家に居たことについて、何か知ってるの?」

「本当かどうかは分からない、でも……。

アスタリウスを襲って滅ぼした勢力の目的は、こう言われてる。

アスタリウスに伝わる秘宝と、マイの身柄確保。

敵勢力はそれを狙って、アスタリウスを襲撃したらしいんだ」

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