毬亜【マリア】―信長の寵愛姫―
私はどっちの世界で生きたいのだろうか?
親や友達がいる場所か。信長がいる場所か。
「最初はさ。戦略の一つかと思ってたけど、兄上はあんたに相当、本気みたいだな」
信包の声がして、私はハッと現実に引き戻された。
一瞬、信長の声かと思った。
さすが兄弟。声が似ている。
縁側に座っている信包が、畳に座りこんでぼけーっとしている私をじっと見ていた。
あれ? そういえば、いつからそこにいたんだろう。
私は喉を鳴らすと、きちんと座りなおした。
ぼけっとして緩んでいた顔を見られていたら、恥ずかしいな。
「そんなこと……」
ごにょごにょと言葉を濁した。
親や友達がいる場所か。信長がいる場所か。
「最初はさ。戦略の一つかと思ってたけど、兄上はあんたに相当、本気みたいだな」
信包の声がして、私はハッと現実に引き戻された。
一瞬、信長の声かと思った。
さすが兄弟。声が似ている。
縁側に座っている信包が、畳に座りこんでぼけーっとしている私をじっと見ていた。
あれ? そういえば、いつからそこにいたんだろう。
私は喉を鳴らすと、きちんと座りなおした。
ぼけっとして緩んでいた顔を見られていたら、恥ずかしいな。
「そんなこと……」
ごにょごにょと言葉を濁した。