毬亜【マリア】―信長の寵愛姫―
 私の知っている恋愛って言えば、好きな人に告白して相手に受け入れてもらえれば、付き合って……すぐにベッドを共にするって感じなんだけど。

 私は畳の上にごろりと横になって眠っている信長の姿を視界に入れた。

 戦国時代では違うのだろうか?

 ううん。戦国時代のほうが、私が生きている時代よりももっとシビアだった気がする。

 一度も会ってもない男と、親が決めたからという理由だけで、結婚をして、夜と共にする。

 ただ一緒に夜を過ごすわけじゃない。子作りをするのだ。

 恋も愛も知らない出逢ったばかりの男と。

 同じ布団で寝る。セックスをする。

 だから、私が生きてきた世界よりも、ここは男女の関係にもっと軽薄なのだと思ってた。

 男が女を好きだと言えば、女の意思なんて無視して抱く。そういう時代だと思った。

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