毬亜【マリア】―信長の寵愛姫―
 ズキンと頭が痛む。今までにないくらい激しい痛みだ。

 私は頭を抱えて、その場に蹲った。

 車にひかれそうになって……次の意識が、どうしてこんな緑深い場所なの?

 これは夢? それとも現実?

 ううん。車にひかれそうになっていたのが、夢だったの?

 どっちが夢? どっちが現実? それとも両方とも夢?

「いたぞ。あそこだ」

 遠くから男の叫び声が聞こえる。

 もう、嫌だ。いつまで逃げ続ければ、ゴールが見えるの?

 私は立ちあがると、ガクガクと震える足に鞭を打つように走り出した。

 小枝で切った足の裏が痛い。
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