毬亜【マリア】―信長の寵愛姫―

　そうよ。聖だけ責めちゃいけないんだ。私もいけなかったんだ。

　３０歳前までに結婚しなくちゃ……ていう思いに駆られてて、人を愛する気持ちを忘れてしまっていたんだから。

　結婚は誰かを愛してこそ、するものだね。

　年齢なんて関係ない。まわりがどんどんと結婚していくからって、焦っちゃいけないのよ。

　一生、独身だってかまわない。好きな人が見つからないなら、独りで生きて行くんだってくらいの気持ちでいないといけなかったんだ。

　もとの世界に戻ったら、聖との関係に決着をつけなくちゃ。

　次は絶対に失敗しない。焦らない。

　素敵な恋をして、愛する人と幸せになろう。

「信長様、私……この時代に来て良かったって思います」

　私はだんだんと重たくなってきた瞼をゆっくりと閉じた。

　恋をしよう。

　好きな人と、楽しい人生を送れるように。

　私はとびきりの恋をしたいと思う。