毬亜【マリア】―信長の寵愛姫―
 お二人の関係を壊したくない。これ以上、悪化して欲しくない。

 私が消えていなくなっても、信長が心休まる場所を作っておいて欲しいから。

 それが濃姫の隣だと私は信じたいの。

「条件とは一体、どういうものなのかしら? わたくしでよければ、微力ながらお手伝いさせていただきたいわ」

 きらりと濃姫の目が光る。

 私は瞼を閉じた。

 話していいのかな? どこまでなら、許されるだろうか。

 濃姫の誤解が解けて、信長との関係が修復するなら……。私は早くここを去ったほうがいいんだと思う。
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