彼女は予想の斜め上を行く
金本さん一人で残り番だという定時を過ぎた誰もいない工房に着く。

すっかり気分の萎えた俺が、段ボールを置き挨拶もそこそこに工房を後にしようという時だった。

「長野君。時間ある?」

「え?まぁ一応は…」

「じゃあさ、レストルーム行こうよ?」

店舗は営業中のため、金本さんは販売員に一声かけて俺と共にレストルームに向かった。



「どうぞ」

そう言って目の前には、ケーキが置かれた。

店頭には並んでいない。

今回本採用に向けて製作した物とも違う。

突然なんだ?

そう思ったが、食べないわけにもいかないので口にした。

「これって……」

「生地が余ったから、アレンジしてみたんだ」

《la neige》に旬を迎えつつあるブルーベリーピューレを加えたケーキ。

「ピューレ加えるだけで、こんなに変わるんだ…」


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