彼女は予想の斜め上を行く

裕行side




《TOKYO ケーキショー》

開催期間は七日間。

東京に本社を置く大手製菓材料メーカーのビルにて3フロアを貸し切って業界人はもちろん、一般人も含め多くの人々が毎日訪れ、各メディアも注目する国内最大級洋菓子作品展である。



そして、本日開催期間六日目。


「今日も来なかったなぁ…。長野君……」


ケーキショー終了後。宿泊先ホテル近くの居酒屋。

落胆した表情を浮かべる斜め上向き女は、最近定番になりつつある言葉と共に心底不幸そうな小さな溜め息をひとつ吐き出した。

アルコールに弱い体質故に烏龍茶を飲む葵。

ザルの称号を持つ勇人ほどではないが。

それなりにアルコールに強い俺は、生ビールの中ジョッキを喉に流し込み、やっぱり定番になりつつある言葉を掛ける。


「大丈夫だよ。絶対に来る」


ヘタレでビビりな癖に諦めの悪いあいつなら、鈍感な思考回路を悩ませながらもこの会場に必ず来ると思ってた。
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