幽霊が恋人。
いつもと変わらない通学路なのに、違う空気が流れる。



隣に目をやると、彼は一言も喋らないでいた。






「なんか…変な感じ。」



急に話しかけたせいか、慎汰はえっ?と聞き返す。





「…いつも歩いてたよね。ここ。」



『…なんか琉衣に初めて会った時のこと思い出すなぁ…。』


「…初めて…会ったとき?」







『あ!忘れてたりしないだろーなぁ?』



「わ、忘れてないわよ!」









忘れるわけない……









あれは、今と同じ季節。








「琉衣お願いっ!!今日だけ掃除変わって!!」



友達があまりにもそう言うから、私は仕方なく頷いた。



「わかった。いいよ。その変わり彼氏とのデート失敗しないようにね?」



「ありがと!」












誰もいない教室で、私はホウキをロッカーから取り出した。




「ぁ~あ。美世上手くやってるかなぁ。」



そう呟いた直後、教室の扉が開く。










「あれ………早島?」


そこには新しくクラスが一緒になった…



「…晴…峰くん。」




「何なに?一人で掃除してるんだ?」


慎汰はロッカーからホウキを出す。


「な…何してんの?」




「俺も一緒に掃除するよ。」









窓から夕日がキラキラ…


何もない教室に反射して、彼の笑顔もその光に消えてしまいそうだた。




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