死神の邂逅


管轄内。おおよそ千人単位で分けられる分担であり、範囲は広い。県内全域、もしくは隣県跨いで移動するのが日常茶飯事。


管轄外のことなど分からない五十鈴だが、きっと他の死神たちも自分のように飛び回り、あくせくして義務を果たしているのだろうと思っていた。


同じように、日課のように、習慣であり、勤め、また勤めと五十鈴とて周りに負けじと仕事を果たしていた。


杉が連なる山林。
手頃な止まり木に“鍵ヅメを立てて羽を折り畳み”、五十鈴は地上で血溜まりに伏す死に損ないを見ていた。


誰にやられたんだ、と思いたくなる陰惨さ。あまりにも傷つきすぎた体は他者による攻撃を思わせ、同時に、なんでまだ死なないんだとも思った。


< 3 / 85 >

この作品をシェア

pagetop