死神の邂逅
出血死どころか痛みでショック死もしても良さそうな。
遠目から、左目でしか見ていない状態でも、“今の五十鈴ならば”その死に損ないがいかに常軌を逸しているかが分かる。
右腕がない、左手も指がもがれ、膝から骨が突き出て、あらぬ方に曲がり、腸が舌のようにでろりと出ている。
杉の木に背中をもたれている死に体ぶりだが、男は呼吸を繰り返し、あまつさえ。
「シッ、シシッ……」
面白おかしく、さながらこの体たらくぶりが爆笑もんだと、呼吸と共に笑っていた。
痛みで狂ったか、と五十鈴は黙ってみていた。
歯を剥き出しにして、血を流しながら、時折血の泡(あぶく)が喉に詰まるものなら咳き込み、また笑う。