死神の邂逅
口に関してはさぞや楽しんでいると分かっても、目元までは分からない。
見えないわけじゃない、隠されていた。
包帯が巻かれた目元、重傷ならば腹の穴に巻けとも言いたいが、男が包帯を巻いているのはそこだけ。
赤が滲んでいるようにも見受けられるが、その包帯だけは“無傷”できっちりしていた。他の箇所から移った血であろう、現に男は指がない左手で頭をかこうとし、包帯を汚した。
かけるわけなどなく、「そういや指ねえや」と下らなさそうなため息をついて、男は左腕を下ろした。
「あー、不便っ。頭かいぃよ。ノミでもいんじゃねえの、この山。つうか、頭ならシラミか?虫は嫌いなんだよ、うぜえから。このまんまじゃ、ハエもたかるなぁ。生きたまま卵産み付けられるなんて、どこの三流ホラーだよ。
ひさんー、すっげえ可哀想じゃね、俺。あーあ、助けてーとか言って助けに来てくれるあんパンもいねえし、マジで困ったよ、俺」