りぼん結び。


「若菜、聞いてんの。」


気付けば、先輩が私を覗き込んでいた。



「他の子と、食べればいいじゃないですか。先輩・・人気者だし。」


「俺は、若菜と食べたいんだけど。」


そんな私と先輩のやり取りを見ていた千夏が、


「も~、若菜!先輩と一緒に食べてきなさい!」


と・・私を先輩のほうに押した。


突然押されたら、体のバランスは崩れるものであって____


「きゃ・・っ」



私は先輩のほうに倒れこんでしまった。



「っと、危ねぇ。」



まるで・・先輩に抱きしめられている形になった。



「・・っごめん、なさい」


やだ・・直哉がいるのに。


こんなときも、直哉のことを考えている私は・・きっと重症。


先輩から離れようとした時。


――女子の・・悲鳴が上がった。




「・・っ!」




それは・・直哉が、教室の真ん中で、女の子とキスをしているから。



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