空賊。
どんどんと地面が近くなっていく。
ブラーはスピードを緩めることなく地面を目指す。

……まるで止まることなど考えていないかのように。

“お前なら降りられる”
そう、ブラーは思っているのだろう。
その思いに答えるように、あたしは身を宙に躍らせる。

それも、全く躊躇わずに。
自分の背丈の何倍もあるところから飛び降りるのだ。

並みの人間には出来ない芸当だが、あたしはただの人間ではない。

空中で一回転して体勢を整え、
トンッと軽やかな靴音をたて、あたしは地面へと降り立った。
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