空賊。
つい何時間か前に来たばかりなのに、懐かしく思うのは気のせいだろうか。

今は真夜中だからだろう。
先ほどの賑わいはもうなく、辺りには人一人いなかった。

ユラの居場所を尋ねようとも、人は何処にもいない。

まいったな……そう思った時、目の前に炎の道が現れた。
自分の足元から炎の道が出来ているのだ。
その炎との距離はとても近いというのに、何故か熱くない。

……熱くない?まさか……

「あたしの……炎霊?」

ついに目覚めたというのか……?今、この瞬間に……?



その時、時の歯車がかたかたと音をたてながら動き始めたのだった。
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