その猫、取り扱い注意




「ごめんなさ…」


「僕のこと好きじゃなくても嫌いでいいです。好きになって、なんておこがましいこと言いませんよ」



傘を持つ手に力が入るのを見た。何か決意したようなそんな表情。


あたしはそんなチアキくんをぼんやりと見つめていた。


どうしたら、この悲しみが晴れるのだろうか。


どうしたら、イツキくんを嫌いになれるだろうか。


学校でモテるチアキくんに告白されて嬉しくない訳ない。


優しいし、気遣いも出来るこんな紳士な彼氏は他にいない。



「なんか、ずるいですよね。ユミちゃんが弱ってるときに付け込んで」



そんなことないよ。


言いたいのに喉が渇いて声が出ない。



「それでも、どんな方法を使ってでも好きです」



痛いほど伝ってくる彼の気持ちに素直に喜ぶことが出来たらどんなに幸せなことか。


どんなに彼が好きだと言ってもあたしの気持ちは悔しいくらいにイツキくん一筋だ。




き っ と 君 は 気 づ い て る

( 今にも泣きそうな顔してるから )




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