その猫、取り扱い注意




「ユミちゃんがきたよ」


「え」


「はやくーはやくー」



ぼんやりと考え事をしてたら妹のメイに頬を抓られた。


ユミちゃん来たって本当かよ。


まだ一日しか経ってないのにもう返事か。ああ、電話とかのほうがダメージ少ないのにな。


メイに手を引かれて玄関に連れてかれた。そこでぎょっと目を疑う。なんで玄関に入れちゃったの。親いるんだよね。



「風邪大丈夫?」


「はい。心配するほどのことじゃないですよ」


「でも心配だったからチアキくんの好きなケーキ買ってきたよ」


「は、はい。あ、ありがとうございます」

「うん…」

「は、はい」


気まずい空気が流れる。



「あの」


「ユミちゃんはやくこくはくしてぇー」


「メイはあっちの部屋に行きなさい」



5歳の妹にフラれるところを見せる訳にはいかない。僕が少しきつめに言うと頬をぷくっと膨らませて部屋に行った。



本 番 は こ こ か ら

( 泣きそうになる自分、かっこ悪い )




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