その猫、取り扱い注意




「ははっ。あたし、嫌われてる」


ここまで足を運んで来たのが恥ずかしくなった。


無理矢理付き合ってるんだから嫌々なんだろうけどここまでしなくてもいいのにさ。


自分のクラスに戻ろう。


そう思った時。



「何してんの」


「え」



イツキの声がした。


遅い。なにしてるの。どうせあんたのことだからユミちゃんのこと見てたんでしょ。


言いたいことは山ほどあるのに言ったら捨てられそうで。


弱みを握ってるのはあたしなのにあたしがびくびくしてる。



「何もしてないよ」



にこっと嘘っぽい笑顔を張り付けてイツキに抱き着く。



「あっそ」


「もうお弁当食べた?」


「腹いっぱい」


「あたしのお弁当にから揚げ入ってるよ?」


「いらない」



イツキがあたしに構ってくれる。その現実が嬉しくて声が弾んだ。


でも、次の言葉で一気に気分はどん底へ。




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