その猫、取り扱い注意




こんな切ない表情を見せるチアキをユミちゃんは知ってるのかな。


きっとユミちゃんが笑うだけで彼は幸せになれるというのに。



「最後にこれだけは言っておくね」



さて、やらなきゃいけないことをやろうか。


立ち上がり、チアキの立つ木の近くまで歩いた。チアキは俯いたまま、こちらを見ない。


それでいい。直視されたら言えないし。



「あたし、ユミちゃんに酷いことするから」


「出来ませんよ」


「出来るよ。絶対にやる」


「俺がやらせない」


「勝手にして」



初めて聞いた敬語じゃない彼。驚いたけど、動揺してる場合じゃない。


チアキを夢中にさせてるのは他の誰でもなくユミちゃんだった。



真 っ す ぐ な 愛

( 想われてるあの子が羨ましい )




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