その猫、取り扱い注意

ほのかに痛む心





あたしの彼氏は気まぐれだ。


いつもなら朝、迎えに来ることなんてないのに珍しく今日は家まで来てくれた。


嬉しい。


一瞬の気まぐれだとしてもあたしをこんなにも幸せな気分にしてくれる。


イツキが好き。


今にも言葉にしてしまいそうでぐっと我慢した。



「ナナ」


「なーに?」



さりげなくあたしの歩くスピードに合わせてくれるイツキ。


名前を呼ばれて自然と返す声が弾む。頬が緩むのが自分でも分かった。



「今日、用事があるから先に帰って」


「用事?」


「待たせるの悪いから」


「そんなの別にいい…」



なんだか嫌な予感がする。用事がある?それが何?




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