その猫、取り扱い注意




そう思って振り返ると、ナナは背伸びしてキスしてきた。ここはアメリカか。


廊下にいる皆がこっちを見ている。


その中にユミもいたらと思ったらすぐさま唇を離して自分の教室に入った。危ない危ない。


ナナが背中を向けたのを窓から確認して、席に着いた。


騒がしい。



「イツキっちー朝からお疲れー」



ああ、欝陶しい。



「なぁなぁ!聞いてる?イツキっちー」


「死ね」


「親友に対して冷たすぎじゃないすかー」


「誰」



誰と言いながらも誰なのか分かっている。


もちろん、わざと。


さっきからうるさいこいつは同じクラスの自称親友、ヒナタ。


確かユミと同じ委員会だとかなんだか。


今日はいつも以上にハイテンションのヒナタにうんざりしつつ、一応話は聞いてみる。


別に親友じゃないし。


だからといって、友達でもないけど。




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