春をありがとう*2*


「病院に?」

「うん。お父さんと出かけとって、日向を見かけて…」


思い出して言葉が詰まる。


「そう…やったんや」

「うん。私もびっくりした。どっからどう見ても日向やのにって」


私はそこまで話して、再び決心した。


「お母さんもお父さんも日向を待っとる。とりあえず1回家に来て?」

「父さんと母さんが…?」

「うん、ずっと。2人には私から言うけん、来て?」


日向の目には少しだけ涙が溜まっていた。


「うん、明日でも…かまん?今日の午後には退院やけん」

「明日の…いつ?」

「10時くらい?」

「分かった。言っとく」


私はそう言って、病室から出た。




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