ハレゾラ

「どうした、咲?」

今までとは違う低い声に、心臓がドクンと音を立てた。
咲……。そう呼び捨てにされて私は大きく動揺し、そして自分の本当の気持ちを
隠せなくなってしまった。

そして私に口が勝手に動き出してしまう。


「もっとあなたを知りたい……。もっと深く知りたい」


言ってから自分の言葉に驚いてしまったが、本心だけにしょうがない。
でもこの状況をどうしていいものか分からず、俯いていろいろ考えていると、
いつの間に近くに来ていたのか、彼が横から私を抱きしめた。


「僕だって咲さんをもっと知りたいし、僕の事もたくさん知ってほしい。
 だから今日はいっぱい咲さんに触れさせて。そして僕にもいっぱい触れて。
 今日のこの時を忘れられなくなるくらい」

その言葉の意味が分からない様な子供ではない。
一度だけ頷くと、彼の方に顔を向け目を閉じた。

でも彼はクスッと笑い軽く口づけしたかと思うと、私から身体を離した。
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