ハレゾラ

「何笑ってるの? 変な顔して」


「変な顔は余分」


頬を膨らまし怒ってみせても、彼はいつもと変わらず飄々としている。


「そんな膨れっ面しちゃって。大丈夫。そんな変な顔する咲さんも好きだから」


笑いながらそう言い、目の前の食事を食べだした。

そんな言葉を簡単に言ってしまう彼。時々(それは本心なの?)と思う事も
ある。
彼のそんな言動一つ一つに反応してしまう私って……。初めて恋を知った乙女
のようだ。

自分でも知らない自分。そんな私を引き出してしまう彼って……。
もう完全に、彼に心を掴まれてしまったみたいだ。
なぜだか、彼から目が離せなくなってしまった。今日の私は何かがおかしい。

そんな私を見て彼は少しだけ口角を上げ、ゆっくり箸を置いた。
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