ハレゾラ
そんな私の態度に気づいたのか、彼がゆっくりと私に近づいてきた。
「どうしちゃったの?まだ寝るには早いんだけどなぁ」
私がこんな気持ちでいるのに、彼はいつもと変わらない口調だ。少し腹が立っ
てきた。また、からかってるに違いない。絶対に顔を上げたりしてあげないん
だから……。
そう意地になっていると、彼が私の肩にそっと手をおく。その途端、私の身体は
ビクンと大きく反応してしまった。
そんな私の反応を見た彼は、小さな声で私に問いかけてきた。
「そんなに感じちゃった?」
「…………」
「いつまで喋らないつもり?」
「…………」
「ねぇ咲さん。僕、かなり前にも言ったと思うんだけど、思ったことは言わない
と相手に伝わらないよ」