ハレゾラ

「私、まだここに来た理由、話してないから……」


「そういう事」


それを聞いても納得いかないような顔をしている徹さんは、私と希美に温かい
ミルクティーを手渡し、焼き菓子をテーブルの上に置いた。


「身体、冷えてるでしょ。それ飲んで温まって。じゃっ希美、俺あっち行ってる
 から」


そう言って、自室までに戻っていった。


「で、何があってそんな顔してるわけ?」


希美は私を覗き込み、優しい笑顔で聞いてきた。


「翔平君に……彼女……が、いた……」


そう言った瞬間、また涙が溢れてくる。

(あんなに泣いたのに、まだ残っているなんて……)

希美が腕を回して私の肩を抱き、ポンポンと叩いてくれている。
その行為が、私の涙腺をもう一度破壊してしまった。


「もう、ほんとによく泣くね、咲は。いくつよ」


「年齢は……関係無いでしょっ。私だって、泣きたく……な……い……」


嗚咽で言葉が続かない。しばらく希美の胸で泣かせてもらった。
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