ハレゾラ
思いがけない告白


次の日会社に着くと、すぐにシフト表に目を通した。


「あ~、やっぱり……」


今日の私は、店内の商品チェックをする予定になっていた。
もしかしたら、いつもの様に彼が現れるかもしれない。今、彼と出くわしてしま
えば、仕事に何らかの影響が出てしまう。それだけは避けたかった。出来れば会
社では問題を起こしたくはない。
後輩たちには申し訳なかったけれど、自分の商品担当チーフという立場を悪用し
てシフト変更をした。

始業時間が近づくと、控え室に続々と社員たちが集まってきた。


「あれ? 花田せんぱーいっ。今日僕って店内担当でしたっけ?」


「藤原くん、ごめん。私今日、業者さんと納品の打ち合わせがあるの忘れてて」


そう言って舌をぺろっと出し、申し訳なさそうにして見せる。 


「先輩ドジっすねぇ。分かりました、いいっすよ」


「悪いね。今度ランチ奢るわ」


これでよしっ。裏方に徹していれば彼に出くわすことはまずない。
心の中でもう一度藤原くんに謝罪し、在庫センターへと向かった。
< 163 / 237 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop