ハレゾラ

在庫センターの脇にある小部屋に入ると、パイプ椅子に座り机に突っ伏す。


「かと言って、仕事する気にもならないしなぁ」


突っ伏したまま顔を左に向けると、週刊誌が置いてあった。
誰かが忘れていったのだろう。それを手に取りパラパラとめくってみる。特に
面白そうな記事もないなぁと思っていたその時、バンッと勢い良く扉が開いた。
びっくりして顔を上げ、ドアの方を見た。


「おっ……なんだ花田か。誰もいないと思ったから驚いた」


「坂牧チーフ……。驚いたのはこっちですよ」


坂牧は「悪い悪い」と片手を上げ、手に持っていた資料をバサッと机に置くと、
自分もパイプ椅子に座った。


「お前今日は、店内担当じゃなかったか?」


流石はチーフ、よく把握してらっしゃる。ウンウンと一人感心していると頭を
小突かれた。


「おいっ、聞いてるのか」


「あ……、聞いてます聞いてます」


そう慌てて答えると、坂牧は右の口角を少しだけ上げニヤリと笑い、私にジリ
ジリと近寄ってきた。お互いの距離がかなり近づくと、私の目をじっと見つめ
る。
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